コウノです。
東大安田講堂で考えた「人はどう生きるべきか」— 第141回公開講座体験記
昨日、東京大学の安田講堂で開催された第141回公開講座「人間の在り方、生き方」のDAY2「人はどう生きるべきか」を受講してきました。秋晴れの土曜日、本郷キャンパスの象徴的な建物に足を向けたのは、この根源的な問いに向き合ってみたかったからです。
アリストテレスが現代に蘇る?「ユーダイモニア」への情報工学的アプローチ
最初の講義は情報理工学系研究科の二瓶美里教授による「ユーダイモニアを情報理工学で追求する」でした。ユーダイモニア(eudaimonia)とは、アリストテレスが提唱した「人間の最高善」を意味する概念です。
二瓶教授が語ったアリストテレスの言葉が特に印象的でした。「人間の生き様は、習慣によって自然と決まる。我々自身は繰り返し行っている行動により作られる。それがあっての結果なので快楽に溺れない中庸と追求を繰り返すことがよき人生をつくる」
この古代ギリシャの哲学を、現代の情報技術でどう実現するかという発想が興味深く、教授が開発したというアリストテレスチャットボットの話には驚かされました。このチャットボットは、答えを教えるのではなく、問いかけることで使用者が自分自身で答えを見つけられるよう設計されているそうです。まさに「答えは自分で出したい」という哲学的姿勢を技術で体現したものでした。
医学部から法学部へ—多様な人生の選択肢
続いて法学政治学研究科の米村滋人教授による「個人の生き方は法でどこまで尊重されるか」の講義。米村教授は東大医学部を卒業後、再び法学部に入学したという異色の経歴の持ち主でした。
医学から法学への転身という大胆なキャリアチェンジを実際に体験された教授だからこそ、「個人の生き方の多様性」について説得力のある話ができるのだと感じました。東大という場所の懐の深さ、多様性を象徴するような存在でした。
脳科学とAIが織りなす未来の生き方
奥山輝大教授(定量生命科学研究所)の「神経科学とコンピュータサイエンスの融合」では、人間の脳の仕組みをコンピュータで理解し、再現する最先端の研究について聞くことができました。
最後の武見綾子准教授(先端科学技術研究センター)による「AI・パンデミック時代に-ガバナンスから考える『生き方』のデザイン」では、コロナ禍を経験した私たちが、今後どのような社会システムの中で生きていくべきかという現実的な課題について考察が展開されました。
東大という場所の魅力
この日の体験を通じて強く感じたのは、東大という場所の持つ知的多様性の豊かさでした。医学部から法学部に転身する教授、古代哲学を最新技術で実現しようとする研究者、脳科学とAIを融合させる科学者—それぞれが全く異なるアプローチで「人間の生き方」という共通のテーマに取り組んでいます。
安田講堂という歴史ある空間で、約500名の参加者と共にこのような深い議論に参加できたことは、本当に貴重な体験でした。一日3,000円という参加費で、これほど質の高い知的体験ができるのは、まさに大学の社会貢献の素晴らしい形だと思います。
おわりに
「人はどう生きるべきか」という永遠のテーマに、様々な学問分野からアプローチする東大の研究者たちの姿を見て、学問の本質的な価値を改めて感じました。答えは一つではないからこそ、多様な視点から考え続けることの大切さを学んだ一日でした。
この公開講座は全3回で構成されており、後日東大TVでも視聴可能になるとのことです。直接会場で体験する臨場感は格別でしたが、より多くの人がこのような知的議論に触れられる機会があることも素晴らしいことだと思います。
東京大学第141回公開講座「人間の在り方、生き方」は2025年10月4日〜11月8日にかけて開催。詳細は東京大学公式サイトをご覧ください。
読んでいただいてありがとうございました
それでは引き続き頑張っていきましょう。
ではまた
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